旅ときどき単語1 県名で知る単語(1)
blog No.026 投稿日:2022.3.10
この記事の内容
どの言語でも語彙力が大切なのは論を待ちません。とくにタイ語は、名詞の性とか動詞の活用といった込み入った文法事項がない分、単語力がより一層重要になります。とは言っても、単語帳とにらめっこしていてもなかなか身につきませんね。
そこでこのブログでは、タイの旅行を楽しみながら単語を増やして行くという、夢のような勉強法に(あまり自信はないのですが)チャレンジしてみたいと思います。
・タイの地図を眺めてみる
・12県もある「ブリー」บุรี
・「ブリー」บุรี のついた県名の意味
・2番目に多い「ナコーン」 นคร
・「ナコーン」 นคร のついた県名の意味
・今日のことわざ
旅ときどき単語1 県名で知る単語(1)
タイの地図を眺めてみる
▼地図をクリックすると、拡大・縮小します。
タイ国の面積はおよそ51.3万㎢。日本の1.36倍ほどの国土は、バンコク都と76県に分かれています。
今まで行ったことがある県を思い出してみました。「行ったことがある」ことの定義は、「その県内にある町や見所を目的に訪ねたことがある」こととしました。通過しただけの県は含みません。
けっこうあちこち行ったつもりでしたが、およそ30県ほどがまだ「未踏」でした。東北部と南部に目立ちます。中部の小さな県も行く機会が今までありませんでした。
さて、こうして地図を眺めてみると、同じ語が含まれている県名が多いなあと気づきます。(タイの県名は県庁所在都市名とすべて同じなので、全国77都市とも言えます。)多い語を並べてみました。( )は該当県の数です。
- ブリー บุรี(12)
- ナコーン นคร(9)
- ターニー ธานี(5)
- ラーチャまたはラート ราช(4)
- シー ศรี(3)
- ペット เพชร(3)
- サムット สมุทร(3)
今回はこのうち、トップ2のブリー บุรี とナコーン นคร を紹介します。
12県もある「ブリー」บุรี
บุรี [burii (*bùrii)/ブリー]は次の12県・都市に使われていて、最も多く登場する語です。
*タイ語の発音について・・・( )内が本来の声調ですが、通常は簡略的に発音しますので、そのように表記しました。これに関する詳しい説明や、タイ文字の発音体系の詳細を知りたい方は、blog021 をご覧ください。
県名(タイ語) | 発音 | 日本語 | ひとこと紹介 | |
---|---|---|---|---|
1 | บุรีรัมย์ | burii ram | ブリーラム | 東北タイの県。有名なパノムルン遺跡 ปราสาทหินพนมรุ้ง [praasàat hĭn phánom rúŋ]があります。 |
2 | นนทบุรี | nonthá burii | ノンタブリー | バンコクのすぐ北、快速船チャオプラヤーエクスプレスの北の終点になります。 |
3 | ลพบุรี | lóp burii | ロップブリー | アユタヤ時代に一時王都が置かれました。サルが群れる遺跡で有名です。 |
4 | สิงห์บุรี | sĭŋ burii | シンブリー | 豊かな穀倉地帯で、タイ最大の寝仏 พระนอนจักรสีห์ [phrá nɔɔn càkkasĭi] があります。 |
5 | สุพรรณบุรี | sùphan burii | スパンブリー | ドヴァーラヴァティー時代からの町。最も正統なタイ語の発音が話されているそうです。 |
6 | สระบุรี | sarà burii | サラブリー | 仏足石が祀られる寺院 วัดพระพุทธบาท [wát phrá phútthábàat] が有名です。 |
7 | จันทบุรี | canthá burii | チャンタブリー | 果物と宝石の産地です。(下の写真と説明もご覧ください)。 |
8 | ชลบุรี | chon burii | チョンブリー | タイ湾に面し、パタヤ(行政的には特別市)やシーラーチャーもここにあります。 |
9 | ปราจีนบุรี | praaciin burii | プラーチーンブリー | ブッダガヤの菩提樹を挿し木したと言われる、タイ最大の菩提樹があります。 |
10 | กาญจนบุรี | kaancaná burii | カーンチャナブリー | 泰緬鉄道の「死の鉄橋」の他、雄大な自然も人気です。 |
11 | เพชรบุรี | phétchá burii (phét burii) | ペッチャブリー (ペットブリー) | 県都にはアユタヤ時代からの歴史を感じさせる寺院が点在しています。 |
12 | ราชบุรี | râatchá burii (râat bùrii) | ラーチャブリー (ラートブリー) | 観光地のダムヌーン・サドゥアク水上マーケット ตลาดน้ำดำเนินสะดวก [talàat náam damnəən sadùak] があります。 |
これ以外にも、タイに詳しい方なら、バンコクの対岸 ธนบุรี [thon burii/トンブリー] や、バンコク都内東部の มีนบุรี [miin burii/ミーンブリー] などの地名もご存じでしょうか。
写真の教会は、ここに逃れてきたベトナム人が心の拠り所として建てたものです。隣にある博物館を見学していると、ご自身の祖先がベトナムの宗教迫害から逃げてきたという年配の男性係員の方が、古い写真を見ながら説明してくれました。教会は何度も再建され、今は5代目とのこと。チャンタブリーには8000人、周辺を含めると12000人ものカトリック信者がいるそうです。教会の中には、ガラスケースに入ったマリア像がキラキラ輝いていました。すべて宝石でできているんですよと、掃除をしていた品の良さそうな年配の女性が教えてくれました。ステンドグラスも見事で、タイにいることを忘れそうでした。(2010年7月訪問)
บุรี [burii/ブリー]の意味と語源
ずばり「都市」「町」という意味です。
語源は、パーリ・サンスクリット語の pura 「とりで・城塞」「都市」から来ています。したがって、パーリ・サンスクリット語文化圏(インド・東南アジア)各地に、この語(pura/プラ, pur/プル)がついた地名・都市名はたくさんあります。少し例をあげてみます。
- インド・・・ジャイプル、カーンプル、ジャムシェドプル
- スリランカ・・・アヌラーダプラ、ラトゥナプラ、スリジャヤワルダナプラコッテ
- ミャンマー・・・アマラプーラ
- シンガポール・・・この国名自体、マレー語でシンガプラ Singapura 「獅子の町」の意味です。Singa は「獅子」なので、語源的には สิงห์บุรี [sĭŋ burii/シンブリー] と同じになります。
※注 บุหรี่ [burìi (正確には bùrìi)/ブリー]は「たばこ」の意味。タイに最初にたばこを伝えたペルシア人のことば(ペルシア語)からの借用語とされていますが、諸説あるようです。บุรี [burii]と似ていますが、声調が違います。
「ブリー」บุรี のついた県名の意味
写真のチャンタブリーは「月の町」という意味です。タイでも月にウサギがいると言われますので、チャンタブリー県の県章はウサギがあしらわれています。
他の県名の意味も紹介しますが、実は意味や由来がよくわからないものもあります。ここでは、このblogの目的――単語をふやす――に沿って、わかりやすいものだけを取り上げました。
※タイの全県名の由来について、『DACO499号』2019年2月20日発行 に記事があります。Amazon kindle で読めます。
4 สิงห์บุรี [sĭŋ burii/シンブリー]=獅子の町
สิงห์ [sĭŋ] は「獅子」のこと。タイを代表するビールは เบียร์ สิงห์ [bia sĭŋ/ビアシン] ですね。最後の ห์ は発音しないので「シンハービール」とは言いません。ただし、後に語が続くと ห์ が復活して [hàʔ,hăa/ハ、ハー] と読むようになります。8月は「獅子座の月」という意味で、สิงหาคม [sĭŋhăa khom/シンハーコム] と言います。(黙字とその復活についてはblog022をどうぞ。)
英語表記ではSINGHAと、最後の黙字(読まない字) ห์ をわざわざ「HA」と書いています。タイではよく使われる表記方法で、タイ語のわからない外国人を困らせます。blog022もご覧ください。
獅子はライオンそのものではなく、ライオンをモデルにした想像上の動物です。
5 สุพรรณบุรี [sùphan burii/スパンブリー]=黄金の町
สุพรรณ [sùphan/スパン] は黄金という意味で、スワンナプーム(สุวรรณภูมิ [sùwannáphuum])空港の สุวรรณ [sùwan/スワン] と同じ語句です。ちなみに空港の名前は、インドシナ半島を指す「黄金の土地・国」(ภูมิ [phuum] は大地・土地の意味)という称号から、先のラーマ9世王が命名されたものです。
7 จันทบุรี [canthá burii/チャンタブリー]=月の町
จันทร์ [can/チャン] は天体の月のこと。最後の2文字 ทร์ は黙字ですが、あとに単語が続くと ท が復活して [-thá] と読むようになります。(黙字とその復活についてはblog022をどうぞ。)月曜日は วันจันทร์ [wan can/ワンチャン] と言います。
2羽の白いウサギの上は市章で、やはりウサギがあしらわれています。
9 ชลบุรี [chon burii/チョンブリー]=水の町
ชล [chon] は日常語でいえば น้ำ [náam] 「水」のことです。
10 กาญจนบุรี [kaancaná burii/カーンチャナブリー]=金(きん)の町
กาญจนา [kaancanaa/カーンチャナー] は金。単独で使うときには า が最後につく形になります。日常語では ทอง [thɔɔŋ] を使います。
11 เพชรบุรี [phétchá burii/ペッチャブリー]または[phét burii/ペットブリー]=ダイヤの町
เพชร [phét/ペット] はダイヤモンドの意味です。
12 ราชบุรี [râatchá burii/ラーチャブリー]または[râat bùrii/ラートブリー]=王の町
ราช [râat/ラート] は王のことです。
2番目に多い「ナコーン」 นคร
次の多いのが9県・都市に使われている นคร [nakhɔɔn (*nákhɔɔn)/ナコーン]です。
*タイ語の発音について・・・( )内が本来の声調ですが、通常は簡略的に発音しますので、そのように表記しました。これに関する詳しい説明は、blog021 をご覧ください。
県名(タイ語) | 発音 | 日本語 | ひとこと紹介 | |
---|---|---|---|---|
1 | กรุงเทพมหานคร | kruŋ thêep mahăa nakhɔɔn | クルンテープ マハーナコーン | もちろんバンコクのこと。正式名称はもっと長く、世界で一番長い都市名といわれます。 |
2 | นครพนม | nakhɔɔn phánom | ナコーンパノム | 篤い信仰を集めるタートパノム仏塔 พระธาตุพนม [phrá thâat phánom] があります。 |
3 | นครราชสีมา | nakhɔɔn râatchásĭimaa | ナコーンラーチャシーマー | 別名コーラート โคราช [khoorâat]。カオヤイ国立公園 อุทยานแห่งชาติเขาใหญ่ [ʔùtthayaan hɛ̀ŋ châat khăo yài] やピマーイ遺跡 ปราสาทหินพิมาย [praasàat hĭn phímaai] など見所満載です。 |
4 | สกลนคร | sakon nakhɔɔn | サコンナコーン | 東北部で一番大きな湖、ノーンハーン湖 ทะเลสาบหนองหาน [thálee sàap nɔ̆ɔŋ hăan] があります。 |
5 | นครนายก | nakhɔɔn naayók | ナコーンナーヨック | 米や果物の生産がさかんです。北東部はカオヤイ国立公園になります。 |
6 | นครปฐม | nakhɔɔn pathŏm | ナコーンパトム | タイで最初に建てられたとされる仏塔・プラパトムチェーディー พระปฐมเจดีย์ [phrá pathŏm ceedii] があります。 |
7 | นครสวรรค์ | nakhɔɔn sawăn | ナコーンサワン | 北部から流れてきた2河川が合流する水運の要衝。華人が多く、にぎやかな春節が風物詩です。(下の写真と説明もご覧ください) |
8 | พระนครศรีอยุธยา | phrá nakhɔɔn sĭi ʔàyútthayaa | プラナコーンシー アユッタヤー | 世界遺産にもなっている旧都アユタヤが県都です。 |
9 | นครศรีธรรมราช | nakhɔɔn sĭi thammarâat | ナコーンシー タムマラート | 南タイの要衝で、歴史ある町です。 |
ピン川 แม่น้ำปิง [mɛ̂ɛnáam piŋ] (左)とナーン川 แม่น้ำน่าน [mɛ̂ɛnáam nâan] が
ここで合流します。
ナーン川の方が流れが速く茶色く濁っていました。
この写真は、ナコーンサワンの町から対岸へ行く渡し船から撮ったものです。対岸には、合流点を見守るように、立派な中国廟「本頭公 水尾聖娘廟」ศาลเจ้าพ่อเทพารักษ์-เจ้าแม่ทับทิม [săancîao phɔ̂ɔ thêepphaarák-cîaomɛ̂ɛ thápthim] がありました。廟内で流れるテレサ=テンの歌に惹かれてお邪魔すると、係のおばさんが「初めて来たのかい?」「だったら」と参拝方法を教えてくれました。途中から交代して教えてくれたおじいさんは、お参りするたびにドラを鳴らしてくれました。最後に祭壇に置いた金紙を炉で燃やし、神様に届けます。思わぬところで中国に出会いました。(2011年7月訪問)
นคร [nakhɔɔn/ナコーン] の意味と語源
「大きな町」「都」を意味します。先ほど紹介した บุรี [burii]よりも、大きく繁華な都市のイメージです。
語源は、パーリ・サンスクリット語の nagara「都市」です。やはり、パーリ・サンスクリット語文化圏(インド・東南アジア)各地に、この語がついた地名・都市名が多く見られます。
なお、この語の語源や文字表記について、blog022でも触れています。
- インド(nagar/ナガル, nagor/ナゴル)・・・スリナガル、ガンディーナガル、シャンデルナゴル、クシナガラ
- ネパール(nagar/ナガル)・・・ビラートナガル、ビレンドラナガル
- ブルネイ(negara/ヌガラ)・・・この国のマレー語による正式国名は Negara Brunei Darussalam(ヌガラ・ブルネイ・ダルサラーム)です。マレー語では「国」の意味で使うことが多い気がします。多島海のマレー語圏では、海港貿易都市=国家(港市国家といいます)でした。
- カンボディア(ankhor/アンコール)・・・アンコールワットは「寺院の都市」という意味です。
「ナコーン」 นคร のついた県名の意味
写真のナコーンサワンは「天国の都」という意味です。他の県名の意味も、いくつか紹介します。
1 กรุงเทพมหานคร [kruŋthêep mahăa nakhɔɔn/クルンテープ マハーナコーン]=天人の都、偉大な都城
กรุง [kruŋ/クルン] は「みやこ」「首都」で、首都・東京は กรุงโตเกียว [kruŋ tɔɔkiau/クルン トーキアウ] と言ったりします。
เทพ [thêep/テープ] は「天人」「神」を意味し、เทวดา [theewadaa/テーワダー] と同じ意味です。仏教では、万物の創造者たる神を想定しません。人間界の上にある天上界の住人をこうよびます。
มหา [mahăa/マハー] は「大きい」「偉大な」という意味になります。
バンコクに都を建てたラーマ1世王が名付け、ラーマ4世王が一部改変した長い名前の、最初の部分です。さらに短く、
กรุงเทพฯ [kruŋthêep/クルンテープ](ฯ は「以下省略」を表す記号。blog024に説明あり)
と表記・発音したり、もっと省略して
กทม. [kɔɔ thɔɔ mɔɔ/コートーモー] (最後の . は省略語であることを示す記号)
という言い方もします。これはそれぞれの語の頭子音字をつなげたもので、タイ語での省略語の一般的な作法になります。
2 นครพนม [nakhɔɔn phánom/ナコーンパノム]=丘の都市
พนม [phánom/パノム] は丘という意味で、クメール語から取り入れたものです。カンボディアの首都プノンペン(本来はプノムペンと表記すべきでしょう)Phnom Penh は「ペン夫人の丘」を意味し、この地で仏像を見つけた女性の名前にちなんでいるそうです。このようにタイ語には、パーリ・サンスクリット語に次いで、クメール語からの借用語も多くあります。
6 นครปฐม [nakhɔɔn pathŏm/ナコーンパトム]=最初の都
ปฐม [pathŏm/パトム] は「第一の」「最初の」という意味です。この県都に鎮座する仏塔・プラパトムチェーディー(またはプラパトマチェーディー) พระปฐมเจดีย์ [phrá pathŏm(má) ceedii] は、伝説によると、紀元前3世紀にインドのアショーカ王がこの地に派遣した僧侶が建てた、タイで最初の仏塔とされています。実際には紀元後4世紀頃のものらしいのですが、ドヴァーラヴァティー時代(6~8世紀)より前の、かなり初期の仏塔には違いありません。現在の仏塔は、古い仏塔に覆いかぶせるように、ラーマ4世王が再建(完成は次のラーマ5世王の1870年)したものです。
ปฐม [pathŏm] と少し形は違いますが ประถม [prathŏm] も同じ語です。โรงเรียนประถม [rɔɔŋrian prathŏm] は「初等学校」、つまり「小学校」のことです。
7 นครสวรรค์ [nakhɔɔn sawăn/ナコーンサワン]=天国の都
สวรรค์ [sawăn/サワン] は、「(天人が住む)天上界」「天国」を意味します。スコータイの近くにある焼き物の産地・サワンカローク สวรรคโลก [sawănkhá lôok] (โลก [lôok] は「世界」の意味)、文字通り「天上世界」という意味です。この町の名前が「すんころく」として日本語になった話は、blog009にあります。この時には、読まなかった ค์ が復活して [khá/カ] と読むようになります。(黙字とその復活についてはblog022に説明あり。)
ちなみに反対語は、นรก [narók/ナロック]「地獄」です。日本語の「奈落」と同じ語源のことばです。blog010で触れています。
8 พระนครศรีอยุธยา [phrá nakhɔɔn sĭi ʔàyútthayaa/プラナコーン シー アユッタヤー] =栄(は)えある首都アユッタヤー
พระ [phrá/プラ] は「仏陀」「僧侶」を指すほか、一種の尊称として接頭辞的に多用されます。พระนคร [phrá nakhɔɔn/プラナコーン] で「首都」「王都」の意味になります。
ศรี [sĭi/シー](ローマ字表記では、読まない ร [r] を書いて sri とすることが多いため、スリ、スリーという誤記がよく見られます)も接頭辞的によく使われます。「吉祥」「光明」「美」「繁栄」などを意味する、おめでたいことばです。
อยุธยา [ʔàyútthayaa(ʔà-yút-thá-yaa)/アユッタヤー] (発音が難しいです。アユタヤと平板に読んでもなかなか通じません。)は、古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』の主人公ラーマ王子が生まれたコーサラ国の首都・アヨーディヤー Ayodhyā がタイ語化した名前です。インドネシア・ジャワ島の都市ジョグジャカルタの名称もアヨーディヤーにちなむそうです。
9 นครศรีธรรมราช [nakhɔɔn sĭi thammaráat/ナコーン シー タムマラート]=栄(は)えある仏陀の都
ธรรม [tham(máa)/タム(マ)] は、日本語のダルマ(達磨)と同じ語源で、「善・徳」「宗教の教え・仏法」の意味です。ราช [râat/ラート] は「王」なので、ธรรมราชา [thammarâatchaa/タムマラーチャー] は「正法の王」、つまり仏陀を意味します。
この地は古くからマレー半島の一大中心として栄えていました。
この寺院のメインの仏塔は、13世紀の建立とされています。
タイもここまで南下すると、イスラーム色が強くなってきます。当時から宗教対立が伝えられていました。ふと、学校帰りの女子高校生が2人並んで楽しそうに歩いている姿が目に入りました。一人はタイ各地で見る一般的な制服でしたが、もう一人は、頭に白いベールをつけていました。彼女たちにとって、信じる宗教の違いなんて意識するんだろうか、周りの大人が勝手に騒いでいるだけではないのか、と思いました。(2000年8月訪問)
今日のことわざ
เสือซ่อนเล็บ
[sʉ̆a sɔ̂ɔn lép / スゥア ソン レップ]
日本語訳:虎が爪を隠す
今年の寅年にちなんで、トラ เสือ [sʉ̆a/スゥア] に関する言い回しを続けます。
今回のものはわかりやすいですね。能力がある人がそれをひけらかさないという意味です。日本語だと、トラではなく鷹になります。
[ 参考文献 ] 冨田竹二郎『タイ日辞典 改訂版』養徳社、山田均『タイを歩く トロピカルスマイル』YOU出版局、岩城雄次郎・斉藤スワニー『タイ語ことわざ用法辞典』大学書林、1998年